15 6月 アルフは呼ぶよ
不登校になる生徒の割合は1990年代と比べて2倍に増えています。学歴を失うだけでなく、職業訓練も受けることができず、就業、就学、職業訓練のいずれも行わなかったためにニートになった、という人もいるでしょう。
15歳から29歳の「ニート」の割合が2015年段階で10.1%、170万人にのぼるとOECDの発表した報告書にて報告されました。OECD諸国の平均は14.7%ですが、移民が少ない日本の状況を考慮すると、「ニート」の割合は決して少ない割合ではありません。
さらに、OECDは32万人(年齢層の1.8%)の人が社会的に離脱した「引きこもり」状態だと報告しています。この状況が長期化すると心身に影響が及ぶことがあり、家族が社会から孤立してしまったり、本人も家族も貧困に陥ったりする状況も生まれかねません。
学校に馴染めない生徒のためにも、多様な学びの場の整備が急がれます。
都市部中心にある単位制高等学校を訪問したことがあります。駅から近いため、遠くからスクーリングに来る生徒も通いやすいそうです。ここでは高校卒業の単位を取ることができます。授業は自分のペースで学べるようタブレットで個別展開され、単位を認定するレポートはクイズ形式でした。友達と関わり合いをしないまま高校を卒業することが可能です。
今日のお話は、兵庫県立神出学園について。兵庫県が設置した公立の宿泊型フリースクールです。ここでは県内に住む23歳未満の男女で不登校などによって進路発見が困難な状況にある人々が集っています。入学の条件があります。自分の生き方や進路を見つけたいという意欲があることです。週4日宿泊して、共同生活をしながら様々なプログラムを体験する学園です。現在50人を超える若い人たちがここで生活をしています。
この学園に来ると
、自然と人の愛情に懐に育まれる感情がぐんぐんわいてきます。ウグイスが鳴いている、風が渡る、ポニーと羊の番をしているのは番犬アルフ君。私が柵の向こうから呼んでみたらアルフ君とメエメエ鳴きながら羊達まで走ってきてくれました。幸せホルモン、オキシトシンが私のカラダをぐるぐる巡ったぞ!
様々なきっかけで傷ついたご本人とご家族を包んでくれる職員の皆さん、美味しいご飯を手作りで作って下さる調理員さん。仲間とここで過ごすことによって、不安や孤立感を超えて、自分を愛し人を愛する気持ちを育てて欲しい、学園長、すべての職員の皆さんが、ゆっくりゆっくりともに時間を過ごしています。
私の娘のミサキさんは、高校を卒業するまでいろんなことがありました。何とか卒業し、「介護職員として働いた歴」は10年のベテランになりました。ミサキを育んで下さった先生方、職場の皆さんのおかげで、老人の方に囲まれ働き続けています。私が諦め、本人も自暴自棄になったら、今彼女の、人を支える人生はなかった。
ソトに出て守られ育まれる人生もあれば、傷ついた心をお家で休めていく人生もあります。今しんどい人に正解はない。ご家族はかつて私が感じた気持ちでいらっしゃる。
でも、私は確かに思う。アルフはあなたを呼ぶ。その心を癒やしたら、将来を見つけに来ませんか。春霞塾の仲間も田村かすみもあなたを待っています。春霞塾は、あなたに光を掲げる塾でありたい。あなたは人を支える人になれるのだから。